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◆◇給食を変えれば、体温が上がり、子どもが変わる! 仁尾小学校の挑戦 ◇◆

2014.05.14



一昨日の「医・食・農につなげる人づくり 〜未来を生きる子供たちのために〜」のイベントは凄く良かったし、これで1,000円は安いと思いました。なんせ5人の専門の講師の方が、それぞれの専門知識から未来の子供たちを守るためにどのようにすればいいのか、現状はどうなのかをお話ししてくれます。また、最後に「お弁当の日」をつくられた竹下先生のお話しもとっても味があり会場全体が笑ってしまいました。

◆講師の方は以下の通りでネット等で調べてみてください。

*講師:三豊市立仁尾小学校校長 山下昌茂氏

    九州大学持続可能な社会のための決断科学センター

准教授 比良松道一氏

    NPO法人大地といのちの会理事長 吉田俊道氏

    松見歯科診療所院長 松見哲雄氏

    香川大学医学部非常勤講師 中尾卓嗣氏

さて、その中でも皆様の健康に一番参考になるのが1番バッターの山下校長先生のお話しではないかと思いますので講演の内容をレポートいたします。

山下校長は平成22年度に仁尾小学校に赴任したとき、インフルエンザによる欠席が多いことに大変驚いたそうです。前任校では全校児童が出席している日が80日前後あったのに、仁尾小学校では3、4日しかなかったという。

平成23年12月2日にはインフルエンザで2人が欠席したのに始まり、収束したのがなんと6月10日。7ヶ月連続、延べ764人が欠席しました。児童数298人中251人がインフルエンザにかかっていたそうです。

「なぜ、こんなに体力がないのだろう」

この疑問から、山下校長は、免疫力と体温の関係を知っていたので、早速全校児童の体温を計ることを実施しました。すると、24年4月の正常体温児童(36.5度以上)の割合は24%という低いものだったそうです。

■低体温の一般的な特徴として健康指導部で調べてもらったところ、3点が見つかりました。

1.血流が悪くなり、免疫力が低下する。

2.体内に異物を発見しても、すばやく駆除してくれる白血球を集めにくくなり、ウイルスや細菌に負けて発病しやすくなる。

3.健康を維持してくれる免疫力は、体温が1度下がるだけで30%低下する。

ここから、山下校長のリーダーシップが真価を発揮します。

■全職員で体温を正常値にするための協議を行い、改善策を3点に絞った。

1.運動により筋肉量を増やす。
2.睡眠時間を確保する。

3.朝食を充実させる。

登校時に運動場を3周ランニングを義務付け、睡眠時間は8時間と約束した。朝食は調査カードに記録してもらい、3大栄養素を意識させた。 この取り組みにより1年間で正常体温の割合は68%まで改善しました。 24%がなんと68%までなんです。

そして、結果は現れた。

24年度のインフルエンザ欠席状況は2ヵ月弱に縮まり、延べ172人が欠席と4分の1に減少した。しかし、依然として課題が残った。それは、朝食充実の割合が30%台にとどまっていたことである。家庭の意識はまだまだ低かったのである。
 
山下校長はここであきらめない。
 
そんなとき、「生ごみリサイクル元気土・野菜作り」の伝道師、吉田俊道さんの講演チラシを目にした。
 
山下校長は健康指導部の先生5人と自主研修。現在の給食の調理法がいかに野菜の栄養価を損なっているかを学び、驚く。
そして、化学調味料の使用をやめ、ミネラル豊富な「あご、いりこ、昆布、しいたけ」の粉末を元気だしとして使い、栄養価がもっとも高い野菜の皮や芯は捨てずに可能な限り使うことにした。
教職員の意識は高まったがこれだけでは不十分。保護者や児童の理解を得るため、吉田先生を招いて親子参加の講演会を企画した。さらに5年生が総合学習の一環として、生ごみによる菌ちゃん野菜づくりに挑戦する。
給食の生ごみに米ぬかボカシを混ぜ合わせて土作りを体験。発酵により土が熱くなり、細かく砕いた生ごみが4日目で形がなくなり、11日目には発酵が終わりに近づき、いやなにおいもないことを確認しあった。
このように、学校の押し付けではなく、どうして給食を変えるのか、なぜ皮や芯を使うのかをこどもに理解させながら取り組んでいるところがとても重要だと感じた。
さらに吉田先生から、元気になるための6つの提言をいただいた。

1.一口30回かんで食べる

2.口を大きく「あー、いー、うー」舌を出して「べー」と動かす体操「あいうべ体操」を1日に30回する。

唾液の分泌、歯槽膿漏、虫歯、口呼吸やアレルギー体質まで改善するそうです。

3.丸ごとの煮干を毎日食べる

4.旬の野菜を皮ごと(野菜の芯も)食べる

5.ジュースを控える。

6.発酵食品を毎日食べる。

元気だしの使用で給食の残菜が増えるかと思いきや、化学調味料の量を大幅に減らすことができ、食材そのものの旨みが出るために食べやすくなり、ほとんどなくなったそうです。和食が増え、なんと子ども達も和食を喜んでいるそうです。
ただ、だしの残りの見た目が悪く、生臭さもあるため、元気だしを理解していない中学生では食べない子が多く、つぎ方を工夫しているそうです。

山下校長に加え、管理栄養士もかねてから同じ問題意識を持っていたことが全校上げての取り組みにつながった。調理師の理解も得られ、だしをとる手間が減ってかえって、作る時間に余裕までできたという。
山下校長は「元気だしを導入したのは、醤油をキッコーマンからミツカンに変えた程度にしか思っていない」と話していました。
野菜の皮を使うかどうかは、食材が届いた時に判断。また幼稚園児が食べられるかどうかを、芯を使う際の判断基準にしているとのこと。
ランチルームで、本日の給食について放送委員から説明を受けたあと、子供たちは「いのちをいただきます」と手を合わせ、まず牛乳を一口のむ。そのあと、できるだけ多く野菜を口に入れ、箸を置いて100回かみます。そのときの数え方は「あ・り・が・と・う・ご・ざ・い・ま・す」で10回です。
インフルエンザによる欠席者は23年度は延べ764人だったのに対し、24年度は172人、今シーズンは1人だけ、正常体温の割合は82%まで改善したそうです。

以上、山下校長が赴任してこられて仁尾小学校がいかに健康的になり、子供が健康になることで家庭も地域も健康的になってきたと言うお話しでした。

世の中には、これは良いよ。こうしなければと言う評論家は山ほどいます。でも、実行が出来ずに、それもみんなを巻き込んで山下校長のように出来ない人ばかりです。
批判も反対も多かったと思いますが、やりきった山下校長は偉いと思いましたし、徐々に子供たちの健康の先に未来があると職員の方が確信をし、楽しみながらこの運動を進めてこられたことが良くわかりました。
写真で子供達や先生方の感想も取っていますので、またご参考にしください。