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被災者、低体温症の危険性高く 日本登山医学会が注意呼びかけ

2011.03.16



被災者、低体温症の危険性高く 日本登山医学会が注意呼びかけ

産経新聞 3月15日(火)15時34分配信

 東日本大震災の被災地の東北地方について気象庁は、16日以降、日中でも1月下旬から2月上旬の真冬並みの冷え込みとなるとして、警戒を呼びかけている。避難所での食料や燃料不足が指摘されるなか、登山医学の専門家でつくる日本登山医学会は被災者が低体温症にかかる危険性が高いとして、低体温症の予防法などを分かりやすく解説したブログを開設、注意を呼びかけている。

 低体温症は、寒さや雨などで体の熱が奪われ、体温(直腸温)が35度以下に下がった状態。32度以下(重症)に下がると判断力が低下して錯乱、意識消失などの症状が出始め、死亡率は40?90%となる。発症から2時間で死に至ることもあり、体温を回復させることは難しいことから予防が第一とされる。

 国内では平成21年7月、北海道・大雪山系のトムラウシ山(2141メートル)でツアー登山参加者とガイド計8人が低体温症で死亡する大量遭難事故が発生。自然災害では2005年10月のパキスタン大地震で、避難所で生活していた数百人が低体温症にかかったと報道されている。

 日本登山医学会では、今も孤立している被災者も多い東日本大震災では、低体温症にかかる危険性が高いと指摘。屋外で救助を待つ被災者だけでなく、十分な暖房施設や物資がない避難所にいる被災者も注意が必要と、地震発生の3日後に急遽(きゅうきょ)ブログを開設した。同会の増山茂理事は「被災地の映像から東北はまだ雪の季節と改めて気づいたとき、低体温症があり得ると思った。予防第一なので、一人でも多くの方に注意を呼びかけたい」と話す。

 低体温症の予防には、身体を冷やす要素(低温や風、雨によるぬれなど)を避けることと、衣類などによる保温・加温、水分やカロリー補給が重要。ブログ(http://jsmmed?tozanigaku.sblo.jp/)では、「震えが止まると自己復熱は不可能で、至急病院への搬送が必要」など注意点を記したほか、質問も受け付けており会員が適宜回答するという。