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[放射能と暮らし]野菜→水洗い+ゆでる…4?8割除染

2011.04.09



 汚染された食品の放射性物質の量は、調理や加工で減らせる場合がある。

 放射線医学総合研究所の内田滋夫さん(環境放射生態学)によると、1950年代の大気圏核実験と、1986年のチェルノブイリ事故以降、欧米を中心に、食品からの除去の研究が進んだ。

 農産物の汚染経路は、〈1〉大気中の放射性物質が表面に付く〈2〉土壌に降り積もった放射性物質が根を通じて吸収される――の2通りある。いま見つかっているのは、〈1〉の表面汚染だ。

 内田さんらが国内外の研究成果をまとめたところ、葉もの野菜の表面についた放射性ヨウ素、放射性セシウムとも、水洗いをすると10?30%程度は落ちることがわかっている。葉の裏表、茎にも付くため、水を入れたボウルやたらいの中で、野菜を振るように洗うと良い。水洗いの後で、さらにゆでて、そのゆで汁を捨てると、40?80%は除去できる。

 ブロッコリーなどの花蕾(からい)類や、根から吸収した野菜の場合はどうか。除去率のデータは少ないが、内田さんは「ゆでて、ゆで汁を捨てればある程度の低減が見込める」と話す。放射性物質はゆで汁に溶け出ると考えられるためで、熱で減るわけではない。

 牛乳は、乳製品への加工で放射性物質の量を減らせる。環境科学技術研究所特別顧問の大桃洋一郎さん(環境放射生態学)は「加工過程で、放射性ヨウ素、セシウムは液体の乳清部分に残る。バターやチーズにはほとんど移行しない」と話す。そもそも放射性ヨウ素は8日間で放射線を出す力が半分に減るため、乳製品の加工・貯蔵過程で少なくなる。加工法の違いで、牛乳から乳製品への放射性物質の移行率を下げる研究もある。

 水道水の放射性ヨウ素汚染に活性炭を使う試みがあるが、「効果は薄い」とみる専門家が多い。イオン交換樹脂で除去できたとする実験もあるが、内田さんは「放射性ヨウ素を確実に取り除ける家庭用浄水器があるかどうかは、これから検証する必要がある」と話す。

 放射性物質がどの程度、食品に移行するかは、食品の種類や環境中の濃度、天候などによっても異なる。海産物も含め、食品への汚染を長期にわたり監視し続ける態勢が必要だ。

(2011年4月7日 読売新聞)


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